「進化した名機」マルシン ベレッタM9A1 組み立てキット その6 〜不発対策:ハンマースプリング初期セット量増加調整+オートマチックファイアリングピンブロックセフティ加工〜
こんにちはです(^○^)
前回は多発する不発に対する対策として
ハンマースプリングを3mmかさ上げして
ハンマーの打撃力を強化してみました。
しかし、それでも不発が発生するため
継続して対策をしていきました。
そんな不発対策の経緯を紹介していきます。
はじめに言っておきます。
長いです^_^;
とりあえず、オートマチックファイアリングピンブロックセフティを抜く。
前回、疑いを持った
オートマチックファイアリングピンブロックセフティを
取り外してみました。
オートマチックファイアリングピンブロックセフティは
トリガーを引いていない時は
ファイアリングピンの前進をブロックし
不意の暴発を防いでいます。
トリガーを引くとセフティ自身が上昇し
ファイアリングピンが解放されて
カートのプライマーを叩くことができるようになります。
マルシンベレッタにもこの機構が再現されていますが
個体差でこのセフティの上昇量が足りず
ハンマーの打撃力が十分に伝わりきらないことがあるようです。
なので、まずはこのセフティを取っ払って
ハンマーそのものの打撃力を見ることにしました。
ファイリングピンの後端にプラ板を貼る
ハンマースプリングの打撃力を上げるのはいいのですが
あげすぎると強度に不安が残ります。
そこで、なるべく打撃力を増やさなくて良いように
ファイアリングピンの後端にプラ板を貼って
より打撃力が伝わりやすくなるようにしました。
ただ、こちらもやりすぎると
発火時にファイアリングピンが
ハンマーとプライマーの間に挟まれて変形するリスクがあります。
また、プラ板が厚すぎると常にファイアリングピンが
ブリーチから飛び出した状態になり
暴発のリスクが高まります。
そこで、今回は手元にあった
厚さ0.4mmのプラ板を瞬間接着剤で貼り付けるのみに止めました。
あとはひたすらハンマーかさ上げ量を増やしてテスト
あとはこれまでと同じように、
3Dプリンターでかさ上げジグを作って
ハンマーの初期設置位置をかさ上げして
ちょうど良い位置を探していきます。
かさ上げ量4mm+オートマチックファイアリングピンブロックセフティなし
不発が発生しています。
かさ上げ量5mm+オートマチックファイアリングピンブロックセフティなし
不発が発生しています。
かさ上げ量6mm+オートマチックファイアリングピンブロックセフティなし
不発の連発です。
かさ上げ量7mm+オートマチックファイアリングピンブロックセフティなし
7mmのかさ上げ+オートマチックファイアリングピンブロックセフティなしで
ようやく、不発なし、全弾発火できました。
オートマチックファイアリングピンブロックセフティを追加してテスト
無事、オートマチックファイアリングピンブロックセフティなしで
全弾発火できたので、セフティを組み込んでテストします。
かさ上げ量7mm+オートマチックファイアリングピンブロックセフティあり
不発が発生してしまいました。
オートマチックファイアリングピンブロックセフティが
発火に与える影響がわかります。
かさ上げ量8mm+オートマチックファイアリングピンブロックセフティあり
不発が発生しました。
かさ上げ量9mm+オートマチックファイアリングピンブロックセフティあり
不発が発生しました。
オートマチックファイアリングブロックセフティを加工する
やはりオートマチックファイアリングピンブロックセフティの影響は大きく、
組み込むと不発が多発します。
そこで、オートマチックファイアリングピンブロックセフティ側で
対策を行なっていきます。
まずは、オートマチックファイアリングピンブロックセフティの
ファイアリングピンと擦れる部分をリューターで削り、
少しでも摩擦を軽減します。
また、上昇量を稼ぐために
フレーム側のリフターと接触する溝に
厚さ0.4mmのプラ板を貼り付けます。
加工後にさらにかさ上げしつつテスト
加工したオートマチックファイアリングピンブロックセフティを
組み込んでテストします。
かさ上げ量9mm+オートマチックファイアリングピンブロックセフティ加工後
加工前に比べ大幅に不発が改善されました。
が、まだ不発が残っています。
かさ上げ量10mm+オートマチックファイアリングピンブロックセフティ加工後
無事、全弾発火しました。
この状態で3マガジン分の発火性能を記録したのが下記の表です。
動画の後の発火で、不発が1発ずつ発生しています。
これ以上のかさ上げはやめよう、と判断しました。
発火性能の表の通り、
動画の後の発火で2発の不発が出たのですが、
これ以上のかさ上げは中止しました。
理由としては、
メーカー側が耐久性などを考慮した
ハンマースプリングの初期セット量に対し
10mm(約1cm)も増加させてしまっているから。
指でハンマーを起こす時も
明らかに力がいります。
本当はストレスのない動作が良いのですが、
本モデルはダブルアクション機能も備えており
不発の際は再度トリガーを引くだけで良いので
耐久性を考えてここまでとしました。
確かに発火の迫力は進化した。しかし・・・。
かなりはっきりと書きますが、
個体差かもしれませんが、
手に入れた個体のキット素組では満足できる発火体験ではありませんでした。
すり合わせ不足ではあると思うのですが、不発が多く、
キット素組でも素晴らしい発火体験となった
非X-PFC仕様と比べるとワンランク調子が落ちた
発火体験と感じております。
発売当初、X等の情報では
そこまで良くない情報を聞きませんでしたので
完成品では大丈夫なのかもしれません。
X-PFCで明らかに発火音が大きく強く感じられるようになり
発火した時の迫力が増大したために
不発に関しては残念です。
ただ、何度も言いますが、キットモデルであり、
メーカー組み立ての完成品は異なるかもしれませんので
ご承知おきください。
この結果が、大昔の
1万円台のキットモデルならこんなに厳しいことを書かないのですが
もう少しお金を出せば作動快調メーカーたちの
完成品が購入できてしまう価格帯であると
どうしても比較してしまいます。
ブローニングハイパワーX-PFCの進化が異次元でしたので
ちょっと残念、というのが本心です。
でも、『久しぶりのガンスミスごっこ』は楽しかった
昔からモデルガンを触っている方であれば
「モデルガンは動かないのが当たり前。
そこで調整して動かす、『ガンスミスごっこ』を
楽しむのが大きな楽しみ。」
ということを体感されていると思います。
タニオコバ社がGM-7で異次元の発火・耐久性能を実現し
タナカワークス社がエヴォリューションシリーズで
考えられないような発火・耐久性の進化を遂げ、
(ついでに異次元の価格帯にもなりましたが(笑 )
僕自身もすっかり、「トラブルを起こさないモデルガン」に慣れてしまっていました。
そんな中、マルシン社も続けとばかりに
X-PFCを開発・販売したこと自体に大きな意味があると思います。
ただ、現時点で作動性確保の改良は
一歩、劣るなぁ、という印象です。
それでも、往年のモデルガンの
「ガンスミスごっこ」
ができたという意味では
楽しい体験でした。
おまけ (部品変形に関して)
発火したバレルを見てみるとこんな変形が。
「PB」の刻印のある部分の角が
ちょっと丸く変形しています。
おそらく、スライド内側のRがぶつかっているようです。
これを見た時、
「そういえば、Xでスライド破損が報告されてたなぁ」
というのを思い出しました。
おそらく、このR部がバレルにぶつかり続けることで
広がるように割れるのかなぁ、と思います。
その点で言うと、ハンマースプリングかさ上げで
発火エネルギーをハンマースプリング圧縮にさらに使うようにすることで
少しでもスライドの後退スピードが落ちると考えられます。
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